スーパーマーケット勤務時代に

お店の移動を言い渡され

隣町のお店に移動になった

部門は同じ青果部だったが

新しいお店の店長が言うには

 

前のお店でカットフルーツを

出していたよね~

それ それだけやってください

 

え?

 

うん うちのお店の青果部は

けっこう人が揃っているから

中沢君はカットフルーツだけやってて

 

はぁ?他の野菜や果物はどうするのですか?

 

大丈夫!パートさんたちが優秀だから!

 

とにかくカットフルーツを

ちゃんと商品化して売れるお店にしたいのよ

 

ということで

カットフルーツを作り始めたが

前のお店では

ベテランのパートおばちゃんが

作っていたので

私はノータッチだった

 

当時はインターネットもない

周りのお店では

カットフルーツなんて出してない

 

数少ない 雑誌などから

東京のお店や

喫茶店のフルーツなど

情報を集めまくって

東京のお店へも見に行った

 

なんとなく

こんな形にすればいいと

見当がついて

果物をカット カット カット

していた

 

お店に出して数時間すると

パックの下に果汁がド~ン

そういえばカット作業中も

果汁がドボドボ流れるくらいだった

 

カットしてから数時間経つと

美味しさがすっかり逃げてしまって

ポサポサ・・・

 

そんな 悩みを語っていたら

鮮魚部のおじさんが

お刺身を持ってきてくれた

一つは 刺身包丁でちゃんと切った刺身

一つは 菜っ切り包丁でドスンと切った刺身

この二つ 全然別物!

でも 同じ魚だという

種明かしは お刺身の包丁と切り方にあると

教えてもらって

長い果物ナイフが欲しくなり

機材屋さんにいろいろ相談すると

24センチの両刃で

果物ナイフの形をしたものを持ってきてくれた

それを 良く研いで

お刺身と同じように切ったら

果汁が流れなかった!

 

そして 更に

鮮魚部のおじさんは

魚に手が触れる回数と時間が長いと

それだけ鮮度が落ちるとも話してくれた

 

なるほど!

果物に手を触れる回数と時間を

なるべく短くすることを考えた

 

・・・で

しばらくして

こんな切り方に落ち着いた

 

まな板には ほぼ 果汁がたれない

切り口はピカピカに光っていて

口に入れると うんまい!

 

凄い切り方を発見したと喜んでいたら

レストランのシェフや

料亭の板前さんたちが

そういう切り方は

昔からあるよ!って

 

・・・じゃあ 最初から教えてよ(笑)

でも 試行錯誤の過程は

全く無駄になっていない

 

お刺身と果物の共通点は

意外だったけれど

ただ単に 包丁をこう動かして!

そう教わったのなら

なぜ 滑らかなのか

なぜ 美味しいのか

触る回数を減らし温度を上げない

そういう理屈はわからなかったはず

 

鮮魚部のおじさんは

そのあたりの理屈を

わかっていて

教えてくれたんだろうな~

ありがとうございます